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小説

未必の見殺し

昼夜が巡って、ぼんやり徹夜明けの頭で、口癖みたいに自分を罵っている。 溜め込んだ洗い物に洗剤を垂らし、包丁をスポンジで拭う。  これからどうしようか。 殺人者は今しがた人を殺したナイフを洗い流しながら、そんなことを考えたりしないだろうか。 ...
未分類

『赤光』について

『赤光』は、真実の善が存在しうるとしたら、それはどんなものか――、と僕が思考した結果、ひとつの暫定的な回答を、物語的に示したものです。  ひさしぶりに読み返してみると、このような補足が必須である、未熟な作品であったと思います。  赤光には一...
日記

Under Star

続けることも悪くはないことは分かっているけれど、いつかはすべてが終わると知っていて何かを続けていくのはなんだかとても不格好な心地がする。  作ることを止めたい、というのは結局、生きることをやめたい、というのと同程度の意味しか持たない。  そ...
エッセイ

手紙

自分に何が残せるだろう? ということを、時々考える。 「生きる限り、こうせねばならない」ということはない。生きて、なにも残らなかったとしても、それは別に恥ずべきことでもないし、不幸でもない。そもそも、死人に恥もなにもない。ただ、多くの生物は...