小説

未必の見殺し

昼夜が巡って、ぼんやり徹夜明けの頭で、口癖みたいに自分を罵っている。 溜め込んだ洗い物に洗剤を垂らし、包丁をスポンジで拭う。  これからどうしようか。 殺人者は今しがた人を殺したナイフを洗い流しながら、そんなことを考えたりしないだろうか。 ...
未分類

『赤光』について

『赤光』は、真実の善が存在しうるとしたら、それはどんなものか――、と僕が思考した結果、ひとつの暫定的な回答を、物語的に示したものです。  ひさしぶりに読み返してみると、このような補足が必須である、未熟な作品であったと思います。  赤光には一...
日記

Under Star

続けることも悪くはないことは分かっているけれど、いつかはすべてが終わると知っていて何かを続けていくのはなんだかとても不格好な心地がする。  作ることを止めたい、というのは結局、生きることをやめたい、というのと同程度の意味しか持たない。  そ...
エッセイ

手紙

自分に何が残せるだろう? ということを、時々考える。 「生きる限り、こうせねばならない」ということはない。生きて、なにも残らなかったとしても、それは別に恥ずべきことでもないし、不幸でもない。そもそも、死人に恥もなにもない。ただ、多くの生物は...
日記

生きるために[240409]

2024年4月9日  やや、不安定な日が続く。 決断というものを、しかけて、立ち止まる。 どうにか、会社説明会というのに参加した。全く、知らない会社である。去年の夏頃は、色々就活と呼べそうな営みをしていたのだが、結局そういった活動から手を離...
日記

ライターとケーキ[#240408]

2024年4月8日  昔のことを思い出していたら、涙が止まらない。  春の雨が降り続いている。  昔のことを、あまり振り返って考えてはこなかった。改めて過去のことを考えるようになったのは、一年ほど前からである。自分の生まれた環境がどういうも...
日記

千億の銀河[#240407]

2024年4月7日  暖かい一日であった。ともすれば、暑さを感じるほど。 桜も咲く頃だろうか?  インフレーション宇宙論とかいう、理論について知る。ビックバン時の加速膨張を想定することで、観測可能な138億光年の宇宙は、宇宙のほんのわずかな...
日記

静寂に耳を澄まして[240406]

2024年4月6日  こんなふうに感じることは、今までにあまりなかったのかもしれない。 部屋の、静けさである。 買い物、食事と、皿洗いを終えて、台所を満たす静けさ。頭上の電灯が、ジィ……と音を立てているのに耳を傾ける。  静けさを感じる、余...
日記

正解を乗り越えるために[240405]

2024年4月5日  何もかも言葉にする必要はないのだ、と思う。生きることそれ自体を私は、この肉体の中で大事に思うことができる。  脈打つ拍動、身体の温度が、不意に感じられる。  遥か遠く、夜景の輝きを眺める時、その一つ一つの光を愛しく思う...
日記

必要ではなく、望むから。[#240404]

2024年4月4日 生きる、気力のようなものが湧いてくるのを感じる。 ずいぶん長い、暗闇と無気力にとどまっていた。今も、不安に襲われる事がある。 ただ座って、話を聞いているだけで、息が苦しくなる。不安や苦痛が私の心を捉える。だが――それに負...